2022年4月25日
第1983回
民間外交は可能か?
<無名の民衆の蘇生がカギ>
それを聞くと、男子部長の谷田昇一が言った。
「しかし、政治家でなくして、一民間人の立場で、そうしたことが可能でしょうか」
「君は、一国の首脳たちが、会ってくれないのではないかと、心配しているんだね」
「はい……」
伸一は、確信に満ちた声で語った。
「大丈夫だよ。学会によって、無名の民衆が見事に蘇生し、その人たちが、社会を建設する大きな力になっていることを知れば、賢明な指導者ならば、必ず、学会に深い関心を寄せるはずです。いや、既に、大いなる関心をもっているでしょう。
そうであれば、学会の指導者と会い、話を聞きたいと思うのは当然です。
また、こちらが一民間人である方が、相手も政治的な駆け引きや、国の利害にとらわれずに、率直に語り合えるものではないだろうか。
私は、互いに胸襟を開いて語り合い、同じ人間として、友人として、よりよい未来をどう築くかを、ともに探っていくつもりです。民衆の幸福を考え、平和を願っている指導者であるならば、立場や主義主張の違いを超えて、必ず理解し合えると信じている。
こう言うと、日本の多くの政治家は、甘い理想論であると言うかもしれない。あるいは、現実を知らないロマンチストと笑うかもしれない。しかし、笑う者には笑わせておけばよい。やってみなければわからない。
要は、人類が核の脅威にいつまでも怯え、東西の冷戦という戦争状態を放置しておいてよしとするのか、本気になって、恒久平和をつくり上げようとするのかという問題だよ」
ベルリンの夜は、更けていった。
部屋のなかには、平和への誓いに燃える、山本伸一の力強い声が響いていた。
「私はやります。長い、長い戦いになるが、二十年後、三十年後をめざして、忍耐強く、道を開いていきます。
そして、その平和と友情の道を、さらに、後継の青年たちが開き、地球の隅々にまで広げて、二十一世紀は人間の凱歌の世紀にしなければならない。それが私の信念だ」
伸一の烈々たる決意を、皆、驚いたような顔で、ただ黙って聞いていた。
<新・人間革命> 第5巻 開道 9頁~11頁
2020年5月23日
第1674回
広布とは外交戦
<大切なのは本気で戦う一人>
きょうは、忙しいなか、ご苦労さま!
あらゆる団体にとって重要なことは何か――それは、
「渉外」であり、
「外交」である。
いかにして味方を増やしていくか。
いかにして敵と戦い、勝っか。
ここに、
その団体の盛衰を分ける重要なポイントがある。
きょうはこの点について、
学会の未来のために、
戸田先生の指導にもふれながら、
スピーチをさせていただきたい。
先生は、
「外交のできない人間は信頼してはならない」と言われた。
私は戸田先生のもとで、
学会の初代渉外部長を務めた。
徹底して訓練を受けた。
「誠実」と「智慧」、
そして正義のために戦う「勇気」――これが渉外の要諦である。
外交の基本中の基本だ。
これがあれば大丈夫である。
もしこの精神が失われたとすれば、
それは、
その団体が滅びていく兆候と言えよう。
強く、
また誠実に、
情熱をもって
進むのだ。
渉外部長だった私は、
戸田先生や学会に対し、
事実無根の中傷を行う
雑誌社や新聞社があれば、
即座に飛んでいって厳重抗議した。
相手が非を認めるまで許さなかった。
悪質なデマや誹謗を
まき散らす連中とも
言論で戦った。
臆することなどなかった。
単身、乗り込んでいった。
交通費がなければ、
歩いてでも行った。
大切なのは、
本気で戦う一人である。
だらしのない、
意気地のない人間が大勢いても、
何の役にも立たない。
本気で立ち上がる人間がいなければ、
何も変わらない。
2006.3.4本部代表者会議
2013年10月19日
外交は、
信念の戦いである