2019年3月12日
1583回
城は「民衆を守る」ものだ
恩師が仙台の青葉城址に立ち、「学会は、人材をもって城となす」との永遠の指針を示されたのは、六十五年前(1954年)の春四月だった。
詩人・土井晩翠が、この青葉城や福島・会津の鶴ケ城に着想を得て作詞したといわれる「荒城の月」の一節には、「昔の光 いまいずこ」とある。
森羅万象は、変化、変化の連続である。
戸田先生は青葉城を訪れたその日、仙台支部の総会で、妙法こそ生命の一切をよりよく変化させゆく根源の力であると明快に教えてくださった。
人生も社会も、どんなことがあろうと、全てを善の方向、幸福の方向、勝利の方向へと変化させていけるのが、「人間革命」即「立正安国」の我らの祈りなのである。
思えば、「荒城の月」の作曲者・滝廉太郎ゆかりの大分・竹田の岡城も難攻不落で知られた。
その本丸跡で、九州の友と「荒城の月」を大合唱したことはあまりに懐かしい(1981年)。それは私が長編詩「青年よ 二十一世紀の広布の山を登れ」を発表した二日後、熊本へ向かう途次のことであった。
歴史上、岡城の堅固さは「一人萬卒を制するといひしはかゝる所の事ならん」と称えられた。
広布の勇者が「一人立つ」ならば、千人、万人にも匹敵する百戦不撓の「平和の城」となる。
「熊本地震」(2016年)では、熊本・阿蘇両地方と大分は、激しい揺れに襲われた。試練に挑み、「負けんばい!」と険難の坂を越えゆく師子のスクラムは誇り高い。
ともあれ、城は「民衆を守る」ものだ。それは民衆が安心して暮らせる拠点であり、地域社会であろう。まさに「立正安国」とは、崩れざる民衆城を築く戦いだ。わが地域の繁栄を願って仏縁を広げる一人ひとりの誠実な行動が、この城を盤石に固めているのである。
随筆「人間革命」光あれ 池田大作 福光勝利の春 2019年3月11日