2023年10月6日
第2260回
学会の会館は
地域の発展に寄与する灯台
<災害時には地域の方々の避難所>
一九五三年(昭和二十八年)十一月、新宿区信濃町に学会本部が誕生した時、戸田はまるで、子どものような喜びようであった。
「遂にできたな! すごいじゃないか。創価の大城だ。これからは、ここで私が指揮を執る。朝から晩まで、同志は自由に集って来られる。広宣流布は破竹の勢いで進むぞ!」
それは、弟子の誓いの結実であった。新本部といっても、大広間が、わずか七十畳ほどの広さである。しかし、この新本部の誕生を境に、広宣流布の前進は、一段と加速していったのだ。
戸田は伸一に言った。
「将来は、日本中に、こんな会館が建つようにしたいな」
伸一は、その言葉を生命に刻んだ。
そして今、かつての学会本部をはるかにしのぐ、幾つもの大会館を、各県区に、つくれるようになったのである。
山本伸一は、大田区の代表との協議会で、会館建設への思いを語っていった。
「今までは会館建設にまで手が回らず、皆さんには、何かとご苦労をおかけしてきました。どの会館も質素で狭く、木造のものも多かった。しかし、いよいよ、新しい段階を迎えました。これからは、都内の各区に、鉄筋コンクリートの、立派な文化会館をどんどんつくってまいります。皆さんの会館です。また、平和と文化を創造する地域の牙城です」
皆の思いをはるかに超えた、建設の構想である。参加者の顔は、喜びに輝いていた。
皆の心を見抜いたように、伸一は言った。
「皆さんは〝考えもしなかった、すごいことだ! わが区に、立派な会館を幾つもつくってしまってよいのだろうか〟と思われているかもしれません。しかし、広宣流布の未来の広がりを考えるならば、必要不可欠です。学会の会館は、まだまだ少ない。他の宗派と比べてみても、それは明らかです」
伸一が言うように、他宗派の寺院・教会等の数と、学会の会館数を比べてみれば、いかに少ないか一目瞭然である。
たとえば、天台系全体の信者数は五百四十万余で寺院・教会等の合計は四千二百余。また、真言系は信者約千二百万で寺院・教会等は一万二千四百余、浄土系は信者二千万余で寺院・教会等が三万五百余、禅系は信者一千万余で寺院・教会等が約二万となっている。〈『宗教年鑑(昭和50年版)』文化庁〉
学会は、このころ既に、会員数は約一千万であったが、会館は四百に満たず、いずれも小さな建物であった。
しかも、学会の会館は、連日、同志が集い、勤行会、教学の研鑽、指導会、研修会、打ち合わせなどが行われ、その使用頻度は他宗派の寺院などと比べて極めて高い。
それらを考え合わせると、効率的な広宣流布の活動を推進していくためには、さらに全国に会館を整備していく必要性を、伸一は痛感していたのである。
彼は、大田区の幹部たちに視線を注ぎながら、話を続けた。
「地域広布を推進していくには、
地域の方々に、
学会の会館はわが町の誇りであると、
思っていただけるようにすることです。
したがって、
会館の使用に関しては、
駐車や駐輪、騒音などで、
近隣に迷惑をかけることがないように
心がけていただきたい。
そして、
『学会の会館があると、
地域が明るくなり、
活気づく。町が栄える』と
言われるようにしていくことが大事です。
また、
会館を立派にするのは、
もし、
地震や台風などの災害があった時には、
地域の方々の避難所としても
使えるようにするためでもあります。
地域を守り、繁栄させ、
人びとを幸福にしていくための会館です。
学会の会館は、
地域の発展に寄与する灯台です。
皆さんは、その灯台守の自覚で、
会館を守っていってください」
※1 会館休館日の災害時対応に万全を期す必要があります。予め出動体制をグループ化しておく必要があるでしょう。地域の灯台を謳うのであれば、休館日は無い方が望ましいが・・・。(サイト・マスタ)
<新・人間革命> 第22巻 新世紀 14~18頁